~赤ちゃんの“耳”と“心”に届くリトミック~
生後3ヶ月から10ヶ月。
この時期の赤ちゃんは、寝返りができるかどうか、
おすわりが少しずつ安定してくる頃かもしれません。
まだ自分の足で自由に動き回ることはできないけれど、
だからこそ、赤ちゃんの「感覚」は、すべてを全身で受け取ろうとしています。
泣いた声にママが近づいてきた。
手を振ると、ママが笑ってくれた。
音がすると、耳を澄ます。
優しい声には、自然とほほえむ。
赤ちゃんは、自分から何かを「選び取る」ことはまだ難しくても、
私たちが届ける声や音、表情や動きは、
まっすぐに、まっすぐに、心の奥まで感じ取っています。

聴く力は、すでに育ち始めている
実は、赤ちゃんの“耳”は、お腹の中にいるときからすでに働いています。
ママの心音、血流の音、外の世界のかすかな声。
生まれてからも、赤ちゃんの脳は「音」を通して、
人とのつながり、感情の変化、安心や不安を学び取っていきます。
「なんとなく楽しそう」
「この声、心地いいな」
「びっくりしたけど、ママが笑ってるから大丈夫」
そんな「音を通じた学び」は、実はこの時期にこそ
とても豊かに行われているのです。
動けないからこそ、音が届く
1歳を過ぎると、赤ちゃんの世界は急速に広がります。
はいはい、つかまり立ち、よちよち歩き。
気になるものに自分から手を伸ばし、目を輝かせて探検します。
でも、生後3ヶ月から10ヶ月頃は、まだ動きに制限がある時期。
だからこそ、五感の“受け取り力”が鋭く、繊細で、深いのです。
この時期に与える良質な音やリズムは、
赤ちゃんの感性や情緒、そして音楽的な才能の「土台」を育てる土壌になります。
リトミックがもたらす、静かな革命
音を聴く。
リズムに合わせて揺れる。
ママの声と一緒に手を動かす。
一見シンプルなこのやりとりの中に、赤ちゃんの成長に欠かせない大切な要素が詰まっています。
「聴く」ことで集中力が育まれ
「リズムに乗る」ことで身体のコントロールが芽生え
「ママと一緒に楽しむ」ことで情緒の安定と社会性の芽が育つ
0歳のうちは、音程を理解したり、リズムを完璧に刻むことが目的ではありません。
「感じること」それがすべての始まりです。
ママの声が、世界で一番の楽器
この時期の赤ちゃんにとって、音楽とは“難しいもの”ではありません。
むしろ、ママの声、語りかけ、歌、手遊び――
それがいちばん美しく、心地よく、赤ちゃんの脳と心を育ててくれる“音楽”なのです。
赤ちゃんは、ママの声が大好き。
たとえ音痴だと感じても、恥ずかしがる必要なんてありません。
いつもの声で、いつもの優しい顔で、赤ちゃんと“音”を楽しむ。
それが最高のリトミックです。
リトミックは“特別なこと”じゃない
「音楽の習い事ってまだ早いのでは?」
「うちの子、音に反応するタイプじゃないかも」
そんな声を聞くこともあります。
でも、リトミックは“英才教育”でも“演奏力の訓練”でもありません。
赤ちゃんとママが一緒に音を感じて、
笑い合い、触れ合い、心を通わせる時間。
それが、赤ちゃんにとっての“音楽の原風景”になるのです。
大人が楽しんでいる姿を見て、赤ちゃんの心も自然に動き出します。
だからこそ、ママが安心して楽しめる空間こそが大切。
フルートの音色に包まれる贅沢な時間
私のリトミック教室では、クラシック音楽のやさしいフルートの音色を
赤ちゃんのそばに届けることを大切にしています。
電子音や騒がしいBGMではなく、生の音、生のリズム。
赤ちゃんが最初に出会う音楽が「本物」であること。
それが、その子の感性を豊かにするきっかけになると信じています。
そして、音が満ちる空間で、ママの心もほっとできる。
そんなレッスンを、私は目指しています。
おわりに
生後3ヶ月から10ヶ月。
まだ何もできないように見えるこの時期は、
実は“受け取る力”がもっとも高まっている、大切な時期です。
この時期にふれる音、声、動き、愛情は、
赤ちゃんの心と身体の土台になります。
そして、その時間を一緒に楽しむママの心にも、
確かなやさしい変化が訪れます。
リトミックを通じて、親子の毎日に、
ほんの少しの「音の魔法」を取り入れてみませんか?
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