根本 ひろえ
経歴
国立音楽大学卒業。
フルートを名雪裕伸氏、宮本明恭氏、佐藤真由氏、ヴァンサン・リュカ氏に師事。
フルートアンサンブルを大友太郎氏、立川和夫氏に師事。
中学生・高校生のための第一回日本管打楽器ソロ・コンテストにて
埼玉県芸術文化祭実行委員会委員長賞受賞。
受賞記念演奏会に出演。SHOBI高校生ソロコンテストにてグッドサウンド賞受賞。
陸上自衛隊中部方面音楽隊にてフルート奏者を務める。
その後、人の心の揺らぎや、そこから表れる症状へのアプローチの仕方に興味を持ち、
精神科ナースとして隔離病棟で勤務。
出産を機に退職し、フルート奏者としての活動を再開。
現在は埼玉北部を中心に、演奏活動を行う。
ウェディングプレイヤーや、ボサノバライブ、ダイニングバーでの演奏、
支援センター、児童館、本庄文化ホールからの依頼のコンサートなどで、
演奏やリトミックを織り交ぜたコンサート等を行う。

詳しい音楽歴
きっかけは
私とフルートの出会いは、
中学1年生の時でした。
新入生歓迎会でフルートの可憐さに
一目ぼれ…!!!
「早く部活の時間になって!」
「フルートの練習、もっとしたい!
もっとうまくなりたい!」と、
授業中も机の下で鉛筆を持ち、
指の練習をするほど
フルートが大好きな女の子でした。
大学時代に味わった挫折
フルート愛が止まらず
、音楽を更に深く学びたいと思い、
国立音楽大学へ入学卒業しました。
大学1年生の時、
どうしても試験の曲の指が回らず…
指を酷使し続けたため、
小指が動かなくなってしまいました。
「なんで半音階すら吹けないの…?」
「私にはフルートしか取り柄がないのに…
私って生きている意味、あるの…?」
毎日毎日、泣きながら練習をしました。
あんなに楽しかった練習が辛くて辛くて…
私の人生で1番大事だったフルート、
それが全て取り上げられたような感覚で
常に涙をこらえているような状態で
一日をやり過ごすような心の状態で
生きていました。
音楽家にとって致命的と言われる
神経系の疾患、
「フォーカルジストニア」
私がこの病気だったと分かったのは、
発症してから4年後、
大学を卒業後し、
陸上自衛隊音楽隊フルート奏者として
採用されて半年の頃です。
「指が動かないのは、努力不足じゃなかったんだ…」
という気持ちと
「もう前みたいに、歌うように、軽やかに、
フルートが体の一部になったように
演奏することはできないのかな」と、
たくさんの処理しきれない感情たちが
沸き上がってきたのを
今でもよく覚えています。

自衛隊に入って4年、症状は良くならず、
逃げるように退職。
それから10年、フルートも、
どんなジャンルの音楽も避けてきました。
音楽を避け続けた10年間
だって、音楽を聴くと思い出しちゃうんです。
指が動かなくて辛かったこと。
大学の試験が受けられなかったこと。
そして、本当はまだフルートが大好きなこと。
プロオーケストラに入った同級生、
フルート教室で働く友達、
自衛隊でずっと演奏を続ける同期、
音楽を楽しむ全ての人が
羨ましくて、妬ましくて
その感情に気づかないふりをし、
ずっと興味をもっていた、
精神科のナースへの転職を決意しました。
精神科のナースへの転職

今思うと、私自身の心が不安定だったので
人の心の揺れ動きや、
心の病気についてのこと、
看護としてのアプローチの仕方について
深く知りたかったのかもしれません。
それから、
今が辛くて悩んでいる患者さんに寄り添いたい。
そんな気持ちも、とても強く持っていました。
1人目の出産後に退職するまで、
精神科ナースとして実務経験をつみました。
入職したのは
とても重い症状で苦しむ患者さんが
入院している、急性期病棟。
嚙まれたり、引っ掻かれたり、
顔に唾を吐かれたこともありました。
でも、不思議と怒りとかは感じないんです。

「こんなことをするほど、あなたは辛いんだね」
「人の気持ちって、他の人から見たら
ほんの些細な事でも揺れ動いたり、
浮き沈みしたり、
場合によっては壊れてしまうことがあるんだ」と、
人の心の安定の大切さを
毎日噛みしめる日々を過ごしました。
出産を機に、精神科病院を退職しました。
育児歴
元精神科ナース、今思い返せば育児ノイローゼ状態に
出産後は、ワンオペ育児で、
昼間は毎日お出かけ、
食事は手作りが当たり前と考えて、
疲れ果てながら日々を過ごしていました。

夜は体力の限界で子供の相手ができず、
興味のないテレビをひたすら見続けて…
子供が眠くなるのを待つ、
特に夜は孤独で仕方ありませんでした。
そして、毎日色々な児童館に行っても、
ママ友ができない!!
本当は同じママ同士、悩みを共有したい!
でも、なかなか話の合うママ友って
出会えないものです。
ずっと、その場限りの、
当たり障りのない話をボソボソして終了
今日は誰とも話さなかった、なんて日も
なんてしょっちゅうでした。
「子供はかわいい、でも…」
毎日どんよりした気持ちを抱えながら起き、子供が寝るとホッとする。
アンパンマンのごっこ遊び、積み木遊びを延々と繰り返し、
むりやり笑顔を作る。
子供が愚図りだしたら、つい大きい声を出してしまい、
赤ちゃん相手に感情をぶつけるなんて、母親失格、
人として未熟だと落ち込み…。
思い描いていた、我が子との幸せでキラキラとした育休生活とは
かけ離れた生活を送っていました。
上の子嫌い症候群
「“上の子と離れたい”と思った日。」
上の子が1歳の時、妊娠がわかりました。
つわりは出産まで続き、ご飯の匂いをかぐのも
見た目すらも苦しくて…。
ご飯を吐き気をこらえながら用意して、
ぐちゃぐちゃにされながら食べさせて。
気持ちが悪くて横になることすらできず、
うずくまりながら、寝かしつけに1時間以上。
夫は仕事でいない。
そんな日々が続いて、
「上の子と離れたい」
「静かな場所に一人でいたい」
思い出したくない、あの言葉
下の子が生まれて、私は上の子のことを“うっとうしい”と感じるようになっていました。
赤ちゃんを守ることに必死で、
ぴょんぴょん跳ねる、積み木を投げる上の子が、怖くて仕方なかった。
赤ちゃんはよく食べるのに、上の子は偏食。
赤ちゃんは静かに寝てほしいのに、上の子は騒ぐ。
上の子がいると赤ちゃんがかわいがれない…
気づけば、「好きだよ」さえ言えない日々でした。
そんなある日、上の子が言ったんです。
「ママ、僕のこと嫌いになったの?」
なにも返事をしない私に
「僕、ママのことが好き!嫌いにならないで!!」
その時の私は、何も返せませんでした。
“好き”って、言ってあげられなかった。
だって…本当に、嫌いだったから。
あれから3年。
あの頃の上の子は、まだたったの2歳。
可愛い可愛い男の子でした。
でも私は、その可愛さに気づいてあげられなかった。
これって、母親失格だからではない。
ただ、守らなければいけないものが多すぎたんです。
一人で抱えるには大きすぎて、
一番大事な子供たちを「嫌い」だと錯覚してしまった。
今、5歳になった息子はお手伝いもしてくれて、思いやりのある子に育っています。
何度も「戻れるなら、2歳のあの子を抱きしめたい」と思います。
だからこそ今、
同じように「上の子に優しくできない」と悩んでいるママに伝えたい。
“大丈夫、あなたが悪いんじゃない。限界だっただけなんだよ”って。

疲れ果てた日々の中で、音楽との再会
そんな疲れ果てた日々の中、近隣で
子供向けのコンサートがあることを知りました。
「じっとできないうちの子には無理かな」と
感じながらも、
聴きに行くことに。
ずっと避けていた音楽…
でも、私が音楽を避けていたら、
子供も歌や楽器を避けるようになるよね
そうしたら、音楽の時間、この子は困るよね…
行っても私が耐えられないかもしれない
子供がぐずって無理かもしれない、それでも…
子育てに悩み、忙しさに追われる中、
親子向けコンサートの案内が、
私の心がまだフルートに惹かれていることを、
教えてくれました。
音楽の力で、育児は変わる
聴きに行ったらもう、
吹奏楽やフルートの音色が懐かしくて、
楽しそうに演奏しているママさんが
キラキラして見えて、
涙がぼろぼろと溢れて…
きっと、出演者さんや他のママさんは、
さぞビックリしたことでしょう!
でも私の心は、その時に、
またフルートへと
磁石のように引き付けられました。
私が避けていたから、
子供にとっては初めての生演奏。
ぐずるどころか、目をキラキラさせて
音に合わせて楽しそうに体を動かすんです。
こんなに小さな子供だって、胸を高鳴らせ、
心を惹きつけられる音楽。

「やっぱり、私の人生には音楽が必要なんだ」
10年間抑え続けていた感情が、
溢れだした瞬間でした。
毎日孤独で辛かった育児。
子供が眠くなるまで、
ひたすら時が経つのを待った夜。
上の子嫌い症候群に悩み、毎日怒り、毎日謝り
毎日泣いた日々。
音楽を通して「今」が辛いママさん
「今」孤独で助けて欲しいママさん
そんなママさんたちの心に、私のリトミックがそっと寄り添えたら――
そう思って、教室を開く決意をしました。

私の持っている知識、技術、経験を生かせるのは
「フルートによるリトミック」
このリトミックを通して、
子供たちの心と体の健やかな発達を促し、
ママさんの毎日が
少しでも過ごしやすくなるようアプローチしたい。
レッスン時間は、
ママさんのほっとできる空間を
作りたいと考え、
フルートリトミック教室~cantarible~を
開講しました。そんなママの心に、私のリトミックがそっと寄り添えたら――
そう思って、教室を開いています。
フルートリトミック教室 現在の様子
「ママは全力で子供に向き合わなければいけない」
こんな法律はありません♪
ママが笑顔でいることが、
子供の心と身体の健やかな成長に、1番大事!!
ママファーストな和やかな時間の中
リトミックのレッスンを続けています。
ママだって、生身の人間です。
毎日子育て、家事に追われ、睡眠時間も取れない、
気分転換をする時間もない状態では
感情を完璧にコントロールすることはできません。
心の拠り所を作る、本当に気の合う人と関わる。
子供の発達段階、それに合わせたママの心の変化を知っておく。
それだけでも、気持ちがふっと軽くなりますよ。

今、リトミック教室では、前橋や伊勢崎、
県外から来てくださるママさんとお子さんが
多いです。
近くに大手楽器店のリトミック教室もあるなか
「このお教室だから!」
と、選んで来てくださるんです。
そんな訳なので、みんな揃いも揃って、とっても真面目!
もう真面目過ぎ!もっと軽やかに過ごさなきゃ♡と
声を掛け合いながら
ママ同士、自然と下の名前で呼び合って、
リトミックの学びと楽しさを
分かち合う時間を過ごしています。
「イヤイヤ期到来のため、
自我とルールで揺れてる心を客観的に見てます!」
「しっかり参加してほしい親心はあるけど、
無理強いせず、子供から輪に入ってくるのを
のんびり待ちます。」
なんて話もしているんですよ。

そうなんです。
輪に入るかどうかは子供の意思で決めること。
私たちは、大人が楽しんでいる姿を子供たちに見せて
「みんな楽しそう。だったら僕も…」
の気持ちを引き出してあげれば良いんです。
子供の気持ちが動く時間を待つことも、最初は難しいものです。
でも、この空間に仲間がいれば、一緒に待てる。
リトミックは、ママ自身の心をふわっと軽やかにするための
アプローチも盛り込まれているんですよ。
子供たちの健やかな心と身体を育み
ママ達の安心できる居場所
フルートリトミック教室~cantarbile~
一緒に体験してみませんか?